全然足跡をのこさずに、窓に這い上ると云うことは、人間にとっては全く不可能なことである。またあるいは窓の外から射撃したものとしてみれば、たかが拳銃くらいでこんな致命傷を負わせると云うことは、あまりに驚異すべきことと云ってよかろう。なお更にこのレーヌ公園と云うのは、大変人通りのある処である上に、更にその家から百碼(ヤード)もないくらいの処に、車の立場(たてば)もあるのであった。しかし射撃の音響をきいたと云うものは一人もなかったのに、たしかに死体が横たわっており、かつ連発式拳銃の弾丸がこぼれているのである。