それから僕は起き上って、背後の岩壁を検(しら)べてみた。僕が数ヶ月の後に、実に興味深く読んだ、君のこの事件に対する絵を見るような記録には、その岩壁は、切り立てたようであったと記されてあったが、しかしあれは必ずしも、文字通りには正しくはなかったのだ。二三ヶ処、足掛りになるようなものもあったし、また、窪地さえもあったのだ。確にその高さは大したもので、とても一気に上らるべきものでもなかったし、またあの湿った小径は、全く足跡を止めずに辿ると云うことも、明かに不可能なことであった。僕はこうした場合に、以前にもやったように、靴を後前(あとさき)を逆にしてはこうかとも思ったが、しかし同一方向に三つの足跡があると云うことになると、それはもう一目瞭然に、瞞著(まんちゃく)であると云うことが看破されてしもう。