彼は少し興奮して来て、ちょっと調子が高く息せきこんだ。しかしまた幽かな光線の中を透して見ると、彼の頭は前方に伸ばされ、全身の姿勢が、注意の集中のために緊張していた。先に戸口のところに跼(うずくま)って風を避けた二人の者は、まだ居たのかもしれないが、しかしもう私には見えなかった。もう四囲はすべて寂然とし、また暗澹としたが、しかしただ例の黒い半身像を中央に映していた、黄色い窓かけの窓だけは、煌々として明るかった。再び私は、極度の静寂の中に、シューシューっと云うかすかな音をきいたが、それはやはり、興奮して来る息づかいを秘めているに相違なかった。それからちょっとすると、私の友人は、私を漆黒な角の方に連れ立った。